計画への「こだわり」が予実管理の8割を決める 予実管理tips#3

DIGGLEアンバサダーの青木です。
予実管理について、シリーズでみなさんにtipsを共有していければ幸いです。10か条のうち2つ目は、「計画への『こだわり』が予実管理の8割を決める」です。

「なぜ今月はこんなに計画から乖離したんですか?」
「この数字を計画では読み込めておらず…。計画の精度の問題ですね」

毎月の収支報告の場で、こんな会話のやりとりがされていることはありませんか?

もし、こんな状態が毎月続いたら、どうでしょう。計画はあっという間に、組織の中で信頼されない数値の羅列と化して、計画との予実差を真剣に分析する人はいなくなってしまうでしょう。
前回でもお伝えした通り予実管理は、予算と実績の管理ですから、予=計画をどのように設計するか、は非常に重要です。

一方で、計画を精度高く策定することは非常に難しい作業でもあります。なぜなら、そもそも1年も先の計画を立てることには限界があるからです。

年間計画は、だいたい新しい期が始まる3カ月から、大企業になれば半年以上も前から作成します。つまり、期初から3カ月も経てば計画作成のタイミングから半年以上経過していることになります。
半年もあれば市況やマーケットにも変化が訪れるのは当然です。計画の前提が変わり、計画には全く盛り込んでいなかった要素により大きく数字がぶれてしまった、ということもあるでしょう。
そうなると、どうせずれてしまうから、という気持ちが先行してしまい、ますます計画の精度にこだわらなくなってしまう。そんな悪循環が起きていたりしませんか?
では、そのような状況の中で「こだわり」とは何を意味するのでしょうか

その1 計画の前提となるKPIを明確にしておく

まず1つ目は、計画を設計したときの「前提条件」を明確にした上でしっかりと残しておくことです。

計画を立てるときには、当然ながらいくつもの前提条件を置いて設計していますよね。
例えば、「単価は対前年○○%アップと見込む、なぜなら○○だから」という具合です。この計画の前提はいわば計画を作り上げる骨組みのようなもので、実績と計画が乖離している場合は、必ずこの前提条件もどこかで乖離しています
この前提条件が、いわゆる一般的に非財務指標、もしくはKPIといわれるものにあたります。人員数、想定獲得法人数、リード獲得件数、PV数、など、事業に関わるあらゆる数値指標です。事業の収支は、こうした非財務指標の掛け合わせや積み重ねの結果ですから、計画設計時にも同じように分解して設計することが必要になります。

例えば人件費であれば、人員数×人件費単価、という形です。もちろん、どこまで分解して設計するかは、そのコストや売上の管理の粒度や優先順位にもよります。ただ、収支全体に大きく影響を与えるような数字、売上・原価・人件費・広告予算、といった数字は、非財務指標と掛け合わせて設計することが多いかと思います。前提条件というのは、この非財務指標の当初の想定値のことをさしており、これをしっかりと明確にして残しておくことが重要になります。

設計の前提条件を明確にすれば、仮に乖離が発生した時にも、計画の精度の問題で終わることなく、「想定ではこのように見込んでいたが、この部分が想定と違ったために乖離が出た」と分析することができます。ここまで分析ができれば、想定との違いも明確になり翌月以降の見通しも立てやすくなりますし、次回以降の計画策定時には再発を防止することができます。こうした小さなこだわりの積み重ねが、計画の精度向上に繋がるのです。

その2 計画自体を引き直す

2つ目は、期初から実際に走り始めてみて、あまりにも前提条件が変わってしまった場合には、早期に計画を引き直すことです。計画時の前提が変わっているのに、ずっとその計画との差異を見続けてることもまた、計画の形骸化につながります。
ですから、基本的に最低半年に一度は計画は見直したほうがよいでしょう。上期と下期で計画を引き直すと、上期の振り返りもしっかりできます。上期の計画差異の要因を明らかにし、事業の環境変化に合わせて下期計画を立て直せば、事業全体がまた新しい気持ちで下期を迎えることもできます。

上記のようなスケジュールも含め、年間で計画策定のスケジュールを事業として決めて、計画策定自体を、一つの事業にとって重要なイベントとして位置付けることもこだわりを生み出す上では非常に重要です。

「こだわりを持つ」とは、つまり計画の精度の問題にして、差異分析をしなくてもよいという言い訳をさせないための環境作りです。予実管理のベースとなる計画に、しっかりと価値を持たせるために、こまかなこだわりを積み重ねていただければと思います。

著者プロフィール

株式会社Loveable 代表取締役 青木想
2007年3月 慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、同年4月に株式会社リクルート(現リクルートマーケティングパートナーズ)に入社。計数管理、事業戦略立案から法務、総務業務、サイト設計など、リクルートの企画職を9年間経験。その後2016年6月から外資系金融機関の営業職へ転職。初年度新人コンベンションで1387人中3位、女性営業マン1位を獲得。MDRTに該当。2018年2月に株式会社Loveableを設立。主にミドル〜レイターステージのベンチャーの1→100を支援する経営企画として、収支管理、KPIマネジメントから業務フロー改善、営業組織の型化などのサービスを展開。