この記事は、経営企画に造詣の深い、元DMM.comの経営企画で現在はフリーランスの井上伸也さんとの予実管理に関する対談シリーズです。

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どこまで計画を作るべきか

井上:予実管理はPLと割り切った方がいいですね。BSも見るとなると、おのずとキャッシュフローまで予実管理の範囲になってしまう。そこまでやると、リアルタイムで数字がとれないと混乱してしまう。僕は予算計画はPLに振り切った方がいいと思います

青木:そうですね、基本、営業利益以下は見ないというイメージですね。で、BSも気にせず。管理会計はPLのところのみ。

井上:営業利益より下は、もう本業外になりますので。計画は当然作っていますが、事業進捗を見る上ではあまり重要ではないんですよね。

山本:とある大企業の予実管理を聞いた時は、PLBS、キャッシュフロー全て計画を作っていると言っていました。ただ、業績のフォーキャストはPLのみで管理しているとのこと。

形だけの計画BSは整合性が取りづらく、BSがずれるとキャッシュフローもずれてくる。
ずれる原因は、仕入れの納品が月末から1日ずれてしまったとか、経営に直接関係ない部分で。そこは経営者としても精度を求めていない部分かなと。なので、「実際に計画が役立っているのはPLの部分だけでは?BSとキャッシュフローの計画って作ってる意味あるんだっけ?」という担当者の声を聞いたことがあります。

減価償却の取り扱い方

井上:余談ですが、減価償却の方法を財務と経理へ明確にしておかないと予実管理が狂ってしまう経験したことがあります。

財務部門とは事前にいろいろと打ち合わせをして予算を作ったのですが、他部門で使っている減価償却が定額法だったので当然自分の部署も定額法だろうと思っていたら、実は定率法で減価償却されていたんです。実際に予実管理のフローを回していく中で想定外の乖離があり、その原因を探っていく中で気づきました。

財務だけではなく、仕訳を切る経理にも確認しておけばよかったと反省しています。

山本:それは、最初に経営企画は「定額法で」と話していたけど、制度会計に則ると実は定率法でないといけなかったということですか?

井上:はい。そこは意外な盲点でした。

山本:基本的に会社としてPLベースでパフォーマンスを握る時は、減価償却も加味しての収益ということでしょうか?

井上:そうなりますね。

減価償却は会計士が作ってくれていたケースもあります。簡易なものは自分で作りますが、税金対策などを加味した難しい税率など自分の守備範囲外になってしまうところは、専門家に任せた方が精度の高い予算を作りやすいかなと思います。予算を作るときから会計士さんに当てこんでもらっていました。

PL脳はよくない?ファイナンス思考について

青木:最近、朝倉祐介さんの『ファイナンス思考(ダイヤモンド社 )』という本でPL脳はいけないという考え方を知りました。私は「GAFAとかの会社は目先の利益ではなく、中長期的な視点で利益を出している。手前では赤字を出していても、それは先行投資。PL重視の考え方だと、GAFAのように赤字を出しながら拡大していくというのは難しいよ」と理解したのですが、日本の会社だと、IRで利益にマイナスが出たらNG。「赤字分は投資だ」とみなしてはもらえないですよね。

「赤字はよくない」と「予実管理しなくてよい」というのは別なのではないかなと思うのですが、井上さんはどうお考えですか?

井上:ファイナンス思考って、財務戦略をきっちり練った上でマネジメントされているのが前提だと思います。メルカリとかがまさにそれだなと思っていて、日本ではすでに利益が出ているけど、本当に大きいマーケットを取りに行くためにはアメリカでの投資が必要だから、赤字でも投資している。その結果より大きなリターンを狙っているのだろうと容易に想像できます。

一方でPL脳を否定される理由って、「ファイナンス思考」を読んでいないのでコメントが難しいのですが、投資家が短期的な利益を求めていて、短期的に株価が上がるようなものを求めているからなのかなと。
それはもっともだけど、短期的な利益を出し続けるのって半永久的には続かないですし、3年スパン、5年スパンで考えた時に絶対に投資は必要になると思います。

予実管理をしっかりして、投資分と費用分を分けてマネジメントできるとよいのではないでしょうか。

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