そもそも予実管理はなぜ大事なの? 予実管理tips#1

DIGGLEアンバサダーの青木です。
予実管理について、10回シリーズでみなさんにtipsを共有していければ幸いです。
まず、第一回目は、そもそも予実管理がなぜ大事なのか、についてお伝えできればと思います。

損益計算書の本来の使い方とは?

予実管理とは、事業の本業の収益性を表す、損益計算書の計画と実績の差異を管理していくことです。でもその前に、そもそも損益計算書とは何を見るものなのか、というところから確認していきましょう。

損益計算書は通知表

損益計算書は事業の本業の収益を表す指標です。つまり、事業コンディションを把握するための最善ツールであり、事業がPDCAを回した結果が一番凝縮されているのがこの損益計算書になるというわけです。決算書で損益計算書をみれば、だいたいその会社の本業のコンディションは把握できます。ですから、よく業界分析などにも使われます。

ただ、決算書でみる損益計算書というのは、いわば通知表のようなものです。一年の結果を測ることはできますが、通知表が出たときにはすでに大事なテストは終わっています。動かない過去の数字を見ても、残念ながら1ミリも、今の事業の数字は動きません。そこで大事になるのが予実管理です。

予実管理は、基本的に毎月行い、今事業で動いている数字を追いかけていきます。それを元に、計画との差異を精緻に分析し、損益計算書の見通しを最新化し、計画達成に近づけていく。このPDCAを回してこそ、本業に結び付けられる価値があります。損益計算書は予実管理とセットで運用して初めて、本業の収益性を見る、という役割が果たせるといっても過言ではないでしょう。

新規ビジネスではデッドラインを決めるために予実管理が必要

それぐらい重要な予実管理ですが、もちろん、事業のフェーズによって活用の仕方は少しずつ変わります。予実管理は、大前提、計画との差異を見ていくもの。ですから、新規ビジネスの運用よりは、ある程度運用が安定した、既存ビジネスの収益最大化と運用に向いています。

新規ビジネスの場合は計画が立てずらいため、月次で回すことが難しい場合もあるからです。ただ、新規ビジネスでは全く使えない、というわけではありません。新規ビジネスの場合は、計画達成というよりは、「どこまで赤字を出したらまずいのか」というデッドラインを決める上で非常に役に立ちます。いわゆる、バーンレートの管理です。

特に創業当初や、資金調達をした後は、コスト管理は極めて重要です。銀行の残高を確認していれば大丈夫、と考えがちですが、実際に銀行からお金が引き落とされるのは、請求書が来てから1カ月~2カ月後。一方発生ベースで管理する管理会計は、請求書日で計上されます。予実管理を徹底すれば、銀行口座の残高よりも早く事業の収支状況を把握することができます。事業フェーズに合わせて、活用の方法を変えることも大事でしょう。

予実管理の目的

では上記を前提にしたときに、改めて、実際に予実管理にはどんな目的があるかについて整理していきましょう。まず大きく3つ目的があると考えられます。

1.計画の達成
2.事業コンディションの定期診断
3.事業収益の効率的な還元

まず、1.計画の達成です。これはまさに予=計画、実=実績、ですから、計画を達成させるため以外に目的はないわけです。期初に立てた計画をしっかりと実現していく、ということが
目的の大前提であるわけです。

そして、その達成に向けて毎月モニタリングすることで把握できるのが、2.事業コンディションです。計画との乖離分析を達成の進捗はもちろん、事業全体の数字も、毎月1回確認できるようになります。生産性指標や、人件費比率など、損益計算書と連動するような指標を設定しておけば、その動きの推移から、事業の傾きをいち早く察知することも可能です。

そしてその動きを受けて、具体的なアクションに繋がる部分が、3.事業収益の効率的な還元です。想定より利益が出そうだということを、早い段階で知ることができれば、それを広告宣伝費などの本業への投資に回せたり、逆に、利益が想定より出ない場合は、早めに利益改善のための打ち手が打てることになります。

まさに、計画策定から、毎月の進捗、改善プランから、戦略実行まで、事業のPDCAを一カ月でぐるりと回せるのが、この予実管理なのです

とはいえ、これを実際に、事業に落とし込んで実施していくとなると、多くの問題が発生し、なかなかうまく回らないのも事実。
そこで、今回はそのコツを10カ条としてまとめてみました。

1.期初計画は経営者の「意志」を込める
2.収支管理がうまくいくかは、計画の「精度」によって8割決まる
3.人事・販促・営業など事業に影響を与える大きな予算は責任者を決めて別管理
4.予算設計者とその後の管理者の責任を一致させる
5.収支管理担当者は「営業利益」と「着地の精度」にコミットする
6.予算管理担当者と月1MTGで関係の質を向上
7.月1の収支報告会では、予算管理担当者も同席させる
8.月次会計の徹底の要は「経費処理の派遣さん」
9.半期のタイミングで期初計画を見直す
10.期末になったら予算消費リスト、予算削減リストを作成する

この10カ条それぞれ1ずつ、次回から詳しくお伝えして参りますので乞うご期待!

著者プロフィール

株式会社Loveable 代表取締役 青木想
2007年3月 慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、同年4月に株式会社リクルート(現リクルートマーケティングパートナーズ)に入社。計数管理、事業戦略立案から法務、総務業務、サイト設計など、リクルートの企画職を9年間経験。その後2016年6月から外資系金融機関の営業職へ転職。初年度新人コンベンションで1387人中3位、女性営業マン1位を獲得。MDRTに該当。2018年2月に株式会社Loveableを設立。主にミドル〜レイターステージのベンチャーの1→100を支援する経営企画として、収支管理、KPIマネジメントから業務フロー改善、営業組織の型化などのサービスを展開。